猫足の栃の御膳


猫足のおぜん(ちゃぶ台)は、物心ついた頃には毎日使っていたもの。家族6人がこの御膳を囲み食事をした。食事が終わると,母はやかんから少しのお茶をこぼして,子供に拭かせた。御膳の真ん中に節のへこみが有って,くぼみにたまったお茶を眺めながら,御膳を拭いた。目をつむっていてもそのくぼみの形を思い出せた。子供たちが大きくなって、改築した家には御膳の代わりにテーブルが来た。私が再びふるさとに帰った時,物置で埃にまみれていたこの御膳を貰い受けた。猫足も一本壊れていて、あまり厚くはない一枚板もかなり反り返っていた。オイルを刷り込むと栃特有の模様が浮き出た。懐かしいくぼみが目を覚ました。