螺鈿の取っ手鉄瓶あられ

嫁入り道具に古物が多かった。是もその一つ。長火鉢(是も古物)と共に愛用している。一年ほど使っていなくてすっかり錆びさせてしまった。申し訳ないことだ。「申し訳ない」って、新しいモノに対してはあまり思わない感情だが、古物に対してはよく思う。 さ…

農具〜藁むしろの織り機の足

玄関に花を生けたのだけど、不安定な花器の止めに丁度いい木の道具を見つけた。しかも荒削りな木の肌が、安物の木の台を隠してくれた。二股に割れた木で作られた道具は、藁を織るための道具だそうだ。穴に横棒を通して、別に有る駒に付けた糸を交差させて「…

西洋の糸車

スイスに行った去年の12月クリスマスマーケットがあちこちで開かれてた。クリスマスを目指して展示会の予定を組んだのだから当たり前なのだけど、とっても得した気分。ちょうど去年の今日、一人でジュネーブに行ったのです。ジュネーブでもたまたまマーケ…

猫足の栃の御膳

猫足のおぜん(ちゃぶ台)は、物心ついた頃には毎日使っていたもの。家族6人がこの御膳を囲み食事をした。食事が終わると,母はやかんから少しのお茶をこぼして,子供に拭かせた。御膳の真ん中に節のへこみが有って,くぼみにたまったお茶を眺めながら,御…

スイスで見つけたかせ巻き

ジュネーブのクリスマス蚤の市で見つけたかせ巻き。キリンさんから同じ型の茶色いものを頂いていたので、蚤の市で分解されていたがすぐにかせ巻きだとわかった。多分氷点下の気温。何度か右往左往しながら、車の中で暖をとっていたおじさんに近づき、窓をた…

夏のおひつ。めしかご(飯籠)

最近うちにきた古物。 おひつ(櫃)は、飯びつの丁寧語。夏に使う竹で編んだものをめしかご(飯籠)と言う。夏場ご飯が腐らないように、朝炊いたご飯を入れておく。私が子供の頃、母は敷き布(お赤飯を蒸すとき使う編み目の布)を敷いてからご飯を入れてたか…

葛布帖

かねてから手に入れたかった、葛布帖と言う本が届いた。静岡に古くから伝わる「葛の布」の105種布見本が収められている。民芸運動の柳宗悦氏の勧めで、外村吉之介氏(倉敷民芸館の館長)によって製作された。 昭和13年初版が出版されたが日々所在が不明に…

樽と壷

漬け物部屋の樽が気になり、一個持ち出してホコリを払って洗ってみた。 細口の壷も同じ場所に有ったもので、花瓶にちょうどいいからと洗ってみると中に古い醤油らしきものが入っていた。が、もったいないような気にもなったが捨ててしまった。このつぼにはよ…

山陰地方の糸車

2003年7月にやってきた糸車は、これもまた古い織り機のおまけでついてきた。何年も動かすものも無く、ほこりをかぶり艶もなかった。9月になり、私は織りの講習会で糸車の使い方を学んできた。早速、汚れをきれいに拭き取り、蜜蝋入りのワックスでつやを出し…

幸田文 全輯 5卷

幸田文 全輯 5卷 流れる 新潮文庫版 を買つたつもりが。中央公論社の5卷が屆き、さざなみの日記他 だつた。中央公論社は6卷が流れるだつたやうだ。つや消しの紺の箱に、朽ち葉色と、白茶か利休白茶の格子が美しい。手に取ればやさしい柔らかい布の感觸。…